劇団皇帝ケチャップひとことプラス

Twitterではちょっと言い足りないことをまとまりもなく徒然に書いております。劇団や創作についてもついでに書きます。

0820観劇メモ ヘロヘロQカムパニー『今度は愛妻家』

劇団ヘロヘロQカムパニー例外公演acht『今度は愛妻家』観劇。

 

脚本:中谷まゆみ

演出:野坂実

於 新宿シアターモリエール

 

私個人、愛してやまない作品の一つですが本当に偶然この作品が上演されると知り、急遽チケットを購入して行ってきたわけです。新宿はモリエール。ヘロQを観に来たのは恐らく『リザードマン』以来です。

 

この作品との出会いは2009年だったか2010年だったか忘れてしまったが、当時勤めていた会社で映画サークルを発足した私は豊島園に雪が降る中同僚2名とともに赴いた。観終わって思ったのは、これは会社の同僚と一緒に来て観るものではなかったということ。泣きの映画は一人で観たほうがいい。思い切り泣けるから。あとは満席状態の映画館よりがらがらの時間帯を狙ったほうがいい。理由は同じ。

 

映画版:豊川悦司薬師丸ひろ子水川あさみ濱田岳石橋蓮司

舞台版:池田成志長野里美真木よう子、横塚真之介、高橋長英

舞台版:葛山信吾瀬奈じゅん入野自由/石井一彰、名塚佳織/今村美乃、村井國夫。

舞台版:関智一長沢美樹、大髙雄一郎、名塚佳織置鮎龍太郎

※舞台版は上から2002年、2014年、2018年。なお2014年は未見。

 

この作品は、タイトルから「今度は」ってどういうこと?とまず疑問に思うわけです。冒頭の夫婦のやり取りから決して愛妻家という印象がない夫。そしてくじけずに明るく振る舞う妻。ここでくじけない明るさを保っているからこそ後半での気持ちの吐露が生きる。不器用な大人たちの優しさが各所で滲む。

 

熱く、強く、気持ちを吐き出させるケース。

逆に淡々と感情を抑えつつ、堪えつつ、自身の感情を高めるケース。

演出によって、役者によって見せ方は変わります。

 

映画、舞台とありますがどれがいいというのはもう好みの話になると思います。

 

今回のヘロQ版に関して言えば、

あらゆる意味で駄目な夫を演じていた関さんがラストで見せる妻への思いを迸らせるシーンは印象的なものとなりました。また明るく振る舞う長沢さん演じる妻の健気さは愛くるしささえ漂っておりました。ただこの二人の姿を眺めていると、というよりも声を聞いていると、どうしてもラジオビッグバン(文化放送)を思い出してしまうので困ります。置鮎さん演じる文ちゃんについては、どはまりのキャスティング。動く置鮎さんを見るのはリザードマン(ヘロQ作品)以来です。

 

人は想っていることを全て口に出して、行動に移してしまえるとは限らない。それが悲劇を生むとしても、悲劇が生まれてから気づくこともある。そんなことを暖かい物語の運びの中で教えてくれる作品でした。